生成AIの進化が加速する中、企業における情報活用のあり方も大きく変わり始めています。中でも最近注目されているのが、Googleが提供するAIツール「NotebookLM(ノートブックエルエム)」です。
社内報を専門に手がける当社の視点では、このNotebookLMと社内報を組み合わせることで、“社内ナレッジの見える化”が実現できるのではないかと考えています。
NotebookLMとは?―ChatGPTとの違いから見えてくる特徴
NotebookLMは、Googleが開発したAIアシスタントで、指定した文書や資料をもとに応答を生成してくれるのが特徴です。ChatGPTとの大きな違いは、「特定の文書に基づいて対話ができる」という点にあります。
たとえばChatGPTは、インターネット上の一般的な情報をベースに回答しますが、NotebookLMは「アップロードした社内報」や「社内マニュアル」といった、ユーザーが提供した文書の内容に沿って応答します。つまり、自社独自の情報に即した、社内専用AIとして活用できるのです。
NotebookLMに社内報を取り込むとどうなる?
NotebookLMに社内報を読み込ませることで、それは単なる読み物ではなく、社内のナレッジ(知識)データベースとして機能しはじめます。これまで埋もれがちだった「会社の歴史」や「子会社の活動」、「成功の記録」、「業務の工夫」などが、AIとの対話を通じて再発見できるようになるのです。
たとえば──
「直近5年間のプロジェクトの成功要因をまとめて」
→ 社内報に掲載されたさまざまなプロジェクトの共通点や成功ポイントをAIが整理。
「直近3年間で特に成功したプロジェクトのPMは?」
→ 該当する記事から関係者や部署をピックアップ。過去のプロジェクトリーダーを列挙してもらい、直接話を聞きに行くための“手がかり”としても活用できます。
「製品Aに関するニュースをまとめて」
→ 製品Aの開発秘話から、ヒット商品になるまでのマーケティング、改良ポイントなどを抽出。新製品の企画・改善に役立てることも可能です。
これは、社内報という「社内にしか存在しない情報」に基づくからこそ実現する活用法です。外部の検索ではたどり着けない、「自社に最適化されたナレッジ共有」を可能にします。
社内報を取り込む際の注意点
もちろん、導入にあたってはいくつか注意すべき点もあります。
■個人情報や機密情報の扱いには慎重に
社内報には氏名や顔写真、未公開の情報が含まれている場合があります。それらをそのままNotebookLMに取り込むのはリスクを伴います。事前に文書の編集・加工を行い、適切な管理体制を整えることが不可欠です。
■AIの出力はあくまで“下書き”
NotebookLMが生成する文章や要約は非常に参考になりますが、最終的な表現や判断には人によるチェックが必要です。特に、社外に発信する文書に活用する際には、慎重な確認が求められます。
今からできる準備とは?
NotebookLMのようなAIツールは、今後さらに進化し、社内で生成AIを活用するのが当たり前になる時代が来ると考えられます。そのときに備えて、今からできる準備があります。
■古い社内報のPDF化
過去に制作した社内報をスキャン・PDF化して整理しておくことで、NotebookLMに読み込ませる“学習素材”として活用できます。
■社内文書の一元管理
社内報に加えて、マニュアルや議事録などの社内文書もまとめておくと、AI活用の幅が一気に広がります。
NotebookLM × 社内報は、単なる新技術の導入ではありません。それは、「会社の知恵を未来に引き継ぐための仕組み」です。
AI活用の第一歩として、まずは過去の社内報を見直し、次の情報活用に備えてみてはいかがでしょうか。