毎月や隔月、あるいは季刊などのペースで発行される社内報は、気づかないうちに多くの冊数がたまってしまうものです。しかし、古い号を処分するのはためらわれますし、そのまま積み重ねて保管しているだけでは過去の情報が埋もれてしまいがちです。このようなお悩みをお持ちの社内報担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでご提案したいのが、定期的に社内報を合本製本して保存する方法です。
ここでは、合本製本のメリットを中心にご紹介いたします。
合本製本とは
まず、「合本製本(がっぽんせいほん)」という言葉に馴染みのない方もいらっしゃるかもしれません。合本製本とは、複数冊の印刷物を一冊の書籍として仕上げる製本方法を指します。たとえば季刊の社内報を1年で4冊発行している場合、3年分をまとめると12冊ほどになりますが、これらをすべて一冊の“本”に綴じるのが合本製本です。
この方法の最大のメリットは、「バラバラに保管しにくい冊子や資料を、一つにまとめて保管できる」という点です。一冊にまとまれば収納や管理がしやすく、必要な記事を探す際も非常に便利になります。また、表紙のデザインや目次、索引を付けることで、より見やすく活用しやすい形にできるのも魅力です。
書籍と同じような体裁に仕上げられるため、「社史」や「周年記念誌」のような正式な資料ほどではないにしても、企業文化を残す大切なアーカイブとしての価値を十分に発揮してくれます。
社内報を合本製本するメリット
長期保管できる
社内報は「社内向けの雑誌」のような役割を担っており、発行直後は多くの社員が目を通します。しかし、時間の経過とともにバックナンバーの管理は難しくなりがちです。古い社内報が段ボールや本棚の片隅に積まれたままになり、「捨てるには惜しいが、保管しておくだけではかさばる…」というお困り事を抱える企業も少なくありません。
合本製本を行うと、複数号の冊子が一冊にまとまるため、場所を取らずにすっきりと整理できます。埃をかぶって劣化してしまうリスクも減り、製本された本の形ですのでページがバラけにくく、長期保管に適しているというメリットがあります。
将来、資料として役立てることができる
社内報は、将来的に企業の歴史や社内文化を振り返る際の重要な資料にもなります。創業当初からの変遷や各部署の成長の過程、経営方針や組織体制がどのように変化してきたかなど、後から振り返ると多くの学びがあります。
特に、新入社員や中途入社の方が増えたときに、過去の社内報に掲載されていた大きなプロジェクトや先輩社員のインタビュー記事などが、企業理解を深める手助けとなるケースもあります。部署異動の際に、過去の取り組みを確認する目的でバックナンバーを読み返す場面も考えられるでしょう。
ただし、社内報を年別・月別にバラバラの状態で保管している場合、目的の記事を探し出すのに手間がかかってしまいます。その点、3年分をひとまとめにした合本であれば、「〇〇年から〇〇年までの動き」を通して俯瞰でき、資料としての価値が高まるのは大きな利点といえます。
制作ソフトが変わってもすぐに取り出すことができる
企業で使用されるDTPソフトやレイアウトソフトは、時代の流れとともに主流が変わっていきます。たとえば、QuarkXPress(クォークエクスプレス)からAdobe InDesign(インデザイン)へと移行が進み、InDesign自体もバージョンアップを繰り返しているのが現状です。こうした変化に伴い、古いバージョンのファイルが新しい環境で開けない、あるいは開けたとしてもレイアウト崩れが起こるといった問題がしばしば発生します。
また、ソフトのサポート終了やOSのバージョン変更など外部的な要因により、過去のDTPデータを参照できなくなるリスクが高まることも珍しくありません。しかし、紙でしっかりと合本製本しておけば、ソフトウェアの互換性に左右されることなく、いつでも内容を確認できます。
もちろん、PDFなどでの電子保存も大切ですが、ファイル形式の互換性やクラウドの移行など、別の問題も生じる可能性があります。その点、紙の合本は、デジタル化の弱点を補完する役割を果たしてくれるのです。
3年ごとに合本製本がおすすめ!
最後に、合本製本を行うタイミングとして「3年ごと」を推奨する理由について触れておきます。
毎年合本製本を行う方法もありますが、その場合は費用や手間がかさんだり、冊数が増えすぎて保管場所を圧迫する恐れがあります。一方、5年や10年といった長期スパンでまとめようとすると、製本前に紛失してしまうリスクや、保管場所の把握が難しくなる可能性があります。
3年という期間は、会社の変化をある程度俯瞰できるうえに、印刷物やデータをまだ比較的容易に管理できる範囲です。社内報の担当者にとっても、3年分を整理しながら振り返ることで、その間に起こった出来事やニュースを総括しやすくなります。さらに、“3年ごと”という明確な周期が定着すれば、合本製本が社内の恒例行事のような位置づけとなり、社内全体で過去の社内報を活用しやすい環境を作り出せるでしょう。
合本製本は、それほど手間がかからないうえに、完成すれば長期的なアーカイブとして大いに活用できる方法です。社内報のバックナンバーを整理しながら、企業の歴史や文化を改めて見つめ直すよい機会にもなるでしょう。もし、古い社内報の扱いにお困りでしたら、ぜひ3年ごとに合本製本を検討してみてはいかがでしょうか。大切な情報や思い出を、きちんと形にして残すことができるはずです。