社内報といえば、一般的には「社員」を対象とした情報発信ツールです。そのため、経営方針や人事異動、社内イベントの報告、社員紹介など、社内コミュニケーションの促進や組織の一体感醸成を目的として発行されることが多くなっています。
しかし、社内報を“社員だけのもの”とするには、少しもったいないかもしれません。視点を広げてみると、社員の「家族」もまた、企業活動に関わる重要な関係者の一部だと捉えることができます。社員を支える家族に、会社の情報や雰囲気が届けば、家庭と会社のつながりが生まれ、思わぬ効果を発揮することもあります。
本記事では、家族を「社内報の読者」として捉えることのメリットや、実際に家族が楽しめるコンテンツ例、運用上の注意点などを紹介します。
社内報を家族にも届けるメリット
家族は、社員が最も身近に接している「生活の基盤」とも言える存在です。仕事に励む社員の姿を理解し、支えているのは、他ならぬ家族です。そんな家族に、会社の様子や取り組みが伝わることで、いくつものポジティブな効果が期待できます。
家族の理解と信頼を得られる
たとえば、「会社がどんな事業をしていて、どんな価値観を大事にしているのか」「自分の家族がどんな環境で働いているのか」といったことが、社内報を通して家族に伝われば、安心感や信頼感が生まれます。
見えにくい仕事の実態が少しでも“見える化”されることは、家族にとって大きな意味を持ちます。
家庭内の会話が生まれる
社内報をきっかけに、「こんなプロジェクトに関わっているんだ」「この写真に映っているのが私の職場だよ」といった会話が自然に生まれるようになります。
家庭内での会話が増えれば、社員の精神的な安定やモチベーションにもつながります。
子どもや配偶者が“応援団”に
ときには、社内報を読んだ子どもから「すごいね!」「がんばってね」といった言葉が届くこともあるでしょう。これは、働く親にとって何よりの励みです。
社内報を通じて家族との心の距離が近づくことは、仕事への誇りややりがいの再確認にもつながります。
家族も「読者」にするためのコンテンツ例
とはいえ、通常の社内報はあくまで社員向けに設計されているため、そのまま家族に見せるにはハードルが高い場合もあります。そのため、以下のように工夫することも大切です。
・年に1回、家族向けの特別号を発行する
これらの工夫に加えて、家族が楽しめる・共感できる・応援したくなるような企画コンテンツを設けることで、「読んでもらえる社内報」が実現します。以下はその一例です。
職場紹介写真ツアー
写真で構成された「社内ツアー」記事は、職場の雰囲気や設備を家族に伝えるうえで効果的です。見える化によって安心感が生まれます。
子どもにもわかる仕事紹介
難しい言葉を避けて、子どもにもわかるように「お父さん・お母さんはこんな仕事をしているよ」と伝える解説ページを設けます。
家族と話したい!「会社のあれこれ解説」
「会社は成長しているの?」「社員の1日ってどんな感じ?」「働き方改革でどう変わったの?」など、家庭で話題にしやすい会社情報をやさしく紹介します。
育休・産休を経験した社員の声
子育てを経験した社員のリアルな声を紹介することで、同じ立場の家族に共感と信頼が生まれます。
家族も使える福利厚生紹介
福利厚生の中には、家族も利用できる制度(施設利用・健康診断補助など)があることも。知られていない情報を届けましょう。
社員の子どもから届いた応援メッセージ紹介
「いつもおしごとがんばってね!」といった子どもからのメッセージは、読者を笑顔にします。家族の応援が誌面を通じて伝わります。
会社のゆるキャラ・ロゴをぬりえにしよう
幼い子どもでも楽しめる“ぬりえコーナー”は、親子で社内報を楽しむ入口になります。完成品を投稿してもらう参加型企画にしても◎。
家族を読者にする際の注意点
家族を新たな読者層とすることは、期待される効果が大きい一方で、運用上の注意点も押さえておく必要があります。
社内での合意形成と目的の明確化
まずは「なぜ家族にも社内報を届けるのか」という目的を明確にし、経営陣や広報・人事部門など関係部署の理解を得ることが重要です。
単なる“話題づくり”ではなく、社員満足度や組織力向上といった視点で捉えるとよいでしょう。
プライバシーや個人情報への配慮
家族の写真やコメントを掲載する際には、必ず本人・保護者の了承を取る必要があります。
また、社員の個人情報が不用意に外部へ漏れることがないよう、取り扱いは慎重にしましょう。
家族も読める表現への工夫
社内の略語や専門用語、業界特有の言い回しは、家族には伝わりにくいこともあります。
特に子どもや高齢者にも読まれる可能性があることを前提に、親しみやすい表現やデザインを心がけましょう。
「応援される職場」には、人を動かす力があります。社内報が家族の応援を引き出すツールになれば、それは企業にとっても大きな財産となるでしょう。
“家族も読者に”という視点を取り入れるのもひとつの可能性ではないでしょうか?