私は、食品製造業(従業員約200名)の会社でITエンジニアとして働く一方で、中途採用を中心に人事業務にも携わっています。
それぞれの部門において役付者で、現在5名の部下を持っています。内訳は女性4名、男性1名で、最近は少し肩身の狭さを感じることもあります。
上記とは別に、昨年から社内改革を推進する横断プロジェクトに関わりました。この結果、社内の風通しが格段に良くなりました。また、休暇を取得しやすくなり、有給休暇も時間単位で取得可能になりました。部署間のコミュニケーションが活発になり、会社のイメージも内外で向上しました。
このプロジェクトに携わったことが評価され、昨年、新設された社長賞を頂くことができました。
社内報リーダーに就任!
昨年度のある日、突然社長から内線が鳴りました。
「今晩、話がある。飲み会をするから予定を空けておいてくれ!」
一瞬、これはハラスメントになるのでは?と思いましたが、社長にはお世話になっているし、現在の立場があるのも社長や役員を始めとした経営陣のおかげです。仕方なく了承しました。周囲からは「何かやらかしたのか?」とか「退職勧告だろうから、俺がその役職をもらうぞ」など、言いたい放題……。
定時後、社長の運転手が運転する車で料亭へ向かいました。
席に着くなり、社長が開口一番、「社内報を作成してほしい。お前がリーダーになれ!」と、まさに昭和世代の口調で指示を出してきました。
「社長、今は令和で多様性の時代ですよ。そのような伝え方は……」と言おうとしましたが、出かかった言葉を発することができず、反射的に「やります!」と快諾してしまいました。
勢いで引き受けたものの、何をどうすればいいのか全く分からない……。
社長は続けます。
「メンバーの選出はお前に任せるが、3人まで。2024年2月を目途に作成し、全社員向けに発表してほしい。このプロジェクトには予算を付けるし、関わる社員の基本給を毎月5万円アップさせる。」
目の前にぶら下がる人参を見た途端、なぜだか使命感に燃え、気付けば焼酎が心地よく染み渡っていました。
さて、メンバー選びをどうしよう
期間は2カ月。翌日からメンバー選びに取り掛かることに。
私の指示をしっかりと聞き、行動できる人を選ぼうと考え、3名を選出しました。
A子(部下) | マイペースながら丁寧な仕事ぶりを内外から評価されている。周囲と協調しながら業務をこなす。2023年度に出産し、時短勤務やテレワークが多いが、信頼できるため選出 |
B子(部下) | ややおっちょこちょいで、好き嫌いがはっきりしているが、行動力がある。協調性を高めてもらうことも期待して選出 |
C子(他部署) | 業務面での信頼は厚いが、やや男受けを気にする傾向があるという意見や同性からあまり好かれていない。ただ、他部署の役付から、成長を望む要望もあったので選出 |
3名を会議室に呼び、打ち合わせを行ったところ、全員が快諾。やはり基本給5万円アップが魅力だったようです。
社内報プロジェクトの組織体制
メンバーを決めてから、早速プロジェクト会議を開きました。
プロジェクト会議では、各人の役割を確認しました。また、他部署の役付から要望もあったこともあり、C子をプロジェクトリーダーに抜擢しました。
役割 | 担当業務 |
プロジェクトマネージャー (私) |
進捗管理、成果物のフィードバック、メンバー間の関係構築、全体の統括 |
プロジェクトリーダー (C子) |
QCD(品質・コスト・納期)の計画と実行 |
プロジェクトメンバー (A子、B子) |
タスクの遂行、課題の報告 |
役割を独断で決めてはみたものの、全員が初めての業務です。そのため、誰もがメンバーでありリーダーであるという意識を持つことを会議の場で話をしました。
いよいよ最初の会議
最初の会議では、社内報の目的と効果を共有しました。
結局の所、給与アップが目的とは言え、やるならば社内報の目的とその効果を決めれば、積極的に取り掛かるだろうし、それに期待しているのが現状です。
会議では、なぜ社内報を制作する必要があるのかをメンバーに説明しました。プロジェクトに取り組む意義を理解し、浸透させることで、各メンバーが主体的に取り組めるようになり、結果的により良い社内報の作成に繋がって行くと考えました。
◇ 社内報の目的
社員のモチベーション向上と、それによる売上アップを目指す
社内報を通じて、社員同士の繋がりを深めて、会社全体の活性化を促します。
社内報を単なる情報発信媒体とするだけでなく、それから波及することを想定し、社員のモチベーション向上や会社の業績向上に貢献するツールとして活用する方針を伝えました。
◇社内報での効果
効果1
経営陣の考えや方針を伝え、会社全体の方向性を統一する
組織が大きくなっていくと、経営陣と社員の直接的なコミュニケーションが難しくなりがちです。社内報を活用することで、経営陣の考えや方針を全社にスムーズに伝え、組織全体の方向性を統一する効果を目指します。
効果2
全ての従業員に平等な情報共有を実現する
通常、情報は直属の上司を通じて伝達されることが多いのですが、部署間での情報格差や情報弱者が生まれてしまう恐れがあります。社内報を活用して全社員に同じ情報を迅速に共有することで、情報の不公平を解消し、組織全体の透明性を高める効果、そして自身に関係ないとかではなく、まずは情報を自身で取捨選択できる環境を目指します。
効果3
他部署との交流を促進する
部署内のコミュニケーションは比較的容易ですが、他部署との関わりは少なくなりがちです。そこで、社員紹介記事や社内サークルの募集を通じて、他部署との交流の機会を創出します。これにより、部門を超えたコミュニケーションを活発化し、組織全体の一体感を醸成する効果を目指します。
効果4
社員のモチベーションアップを実現する
上記の施策(効果1~3)の取組により、社員のモチベーション向上を図ります。加えて、営業成績トップ3の表彰企画やコストカットの成果発表など、直接的に社員のやる気を引き出す施策を社内報に取り入れ、さらなるモチベーションアップを目指します。