ラストスパート、校了直前の大ピンチ!
社内報の編集作業も大詰めです。原稿はほぼ完成し、あとは最後の微調整を残すのみ。あれほど遠く感じていた校了も、もう目前です。
「記事の内容は申し分ないね。読み応えがあって、わかりやすい」
「写真やイラストの選定も良い感じ。記事の雰囲気にマッチしてる」
「明日の最終チェックが終われば、いよいよ校了だ!」
ゴールが見えた安堵感に、メンバー全員の表情がほころびます。初めての社内報制作を、なんとかやり遂げられそうな手応えを感じていました。
しかし、そんな時に思わぬ落とし穴が私たちを待ち受けていたのです。上司に原稿を確認してもらったところ、こんな指摘が返ってきました。
「うーん、デザインがイマイチじゃない? もっと社内報らしい見た目にした方がいいんじゃないかな」
「え、具体的にどの部分ですか?」と聞き返す私たちに、上司は曖昧な表情を浮かべます。
「そうだなぁ、パッと見た感じ『社内報っぽさ』が足りないというか。ビジュアル面で工夫の余地はあると思うよ」
平常心を装いつつも、内心は動揺を隠しきれません。レイアウトはかなり推敲を重ねたはず。一体何を直せばいいというのでしょうか。
「あの、設定した締め切りがもう迫っているんですが…」
「何とかなるでしょ。PDFにしてメールに添付するなら、最悪締め切り伸ばせばいいし」
そう言い残し、上司は軽い足取りで立ち去っていきました。残されたメンバーは、顔を見合わせるばかり。
「『社内報っぽさ』って、一体なんだろう…」
「抽象的すぎて、何を直せばいいのかさっぱりわからないよ」
混乱を隠せない面々に私は決意を新たにします。今はチームの結束が何より大切。一つひとつ、できることから片付けていくしかありません。
「とにかく、もう一度紙面を見直してみようか」
「記事の内容は変えない。あくまでビジュアル面の話だからね」
「私はillustratorで、レイアウトの微調整を試みてみるよ」
先の見えない作業に不安を覚えつつも、前を向いて進むしかありません。メンバーと知恵を出し合い、私はA3サイズ4枚分の紙面に、デザインの修正を加えていったのです。
レイアウト調整に取り組む
「この見出し、フォントを変えてみたらどうだろう」
「写真のトリミングを調整すれば、もっとメリハリが出るかもしれない」
「カラーリングは明るめの方が、読む気が起きるんじゃないかな」
illustratorと睨めっこしながら、私は紙面のブラッシュアップに没頭します。記事の魅力を最大限引き出すレイアウトを探るため、幾つものパターンを試行錯誤していきます。
でも明確な指針がないだけに、どれが正解なのかわかりません。
「これじゃ、ちょっと地味すぎるかな…」
「かといって、派手にしすぎてもバランスが崩れそう」
「自分でもどれがいいのかわからなくなってきた…」
修正を繰り返すうちに、どんどん自信を失っていく自分がいました。このままでは、いつまでたっても紙面が仕上がりません。焦りに苛まれながらも、私は必死に作業を続行します。
「ここは、もっと社内報らしいビジュアルにする必要があるんだ」
「でも、抽象的な指摘じゃ的確な修正は難しい…」
「デザインセンスのなさを痛感する…」
目の前が真っ白になりそうな気分を押し殺し、ひたすらレイアウト案を作り続ける時間。デザインの難しさを思い知らされると同時に、自らの力不足を嘆いていました。
「もう一度、社内報の在り方を考え直してみよう」
「情報を伝えつつ、親しみやすいデザインを心がけるんだ」
理想の社内報像を胸に、私は再びillustratorに向かいます。一つひとつのパーツに想いを込めて、レイアウトの細部を詰めていく。そうした地道な作業の積み重ねが、ようやく形になり始めました。
「これなら、少しは社内報っぽい雰囲気が出せたかも」
「記事の内容を活かしつつ、読みやすさも追求できた気がする」
満足のいく出来栄えではありませんが、私なりの答えを見出せた気がします。上司の指摘を真摯に受け止め、できる限りの改善を施した。これが、今の私たちにできる精一杯のデザインなのです。
悲喜こもごもの最終チェック
夜まで及んだデザイン修正。ついに完成したPDFデータをAdobe Acrobatで入念にチェックします。これが最後の関門。細部まで目を光らせて、ミスのないデータに仕上げなければなりません。
「表紙から順にページをめくって、レイアウトに乱れがないか確認しよう」
「リンク切れや、意図しない改行もチェック項目だね」
「文字化けは大丈夫かな? フォントの埋め込みがされているか、もう一度確かめておこう」
念には念を入れ、データの完成度を高めていきます。おかしな点があれば、その都度修正を施していく。ようやく最終版が出来上がった時には、すでに夜も深い時間になっていました。
「ページ番号、目次、本文。すべてに問題はなさそうだね」
「図版の解像度も申し分ない。この品質なら安心してメール配信できるよ」
「校正に時間をかけた甲斐があったよ。これで堂々と社員に届けられる」
データに合格点を出し、いよいよ配信の段階へ。あれほど遠く感じていた瞬間が、今まさに目の前に迫っています。
社内報のPDFをメールに添付し、送信ボタンをクリックする私。安堵と緊張、そして充実感。様々な感情が胸の内で渦巻いています。
「無事に送信完了!あとは社員の反応を待つばかり」
「届いた人から、感想が返ってきてくれたら嬉しいけど」
配信を終えたことで、重圧から解き放たれるメンバーたち。それでも気の抜けない面持ちなのは、読者の反応が気になるから。自分たちが作った社内報が、どう受け止められるのか。期待と不安を胸に、フィードバックを待つ時間が始まります。
さあ、次はいよいよ最終回。配布された社内報が、果たしてどんな反響を呼ぶのか。どうぞ見守っていてください!