社史の制作において、座談会は非常に有力なコンテンツの一つです。関係者の生の声を引き出し、社史に臨場感や親しみやすさを加えるだけでなく、当時のエピソードや裏話など、書面では伝わりにくい情報を共有する貴重な機会となります。しかし、成功する座談会を開催するためには、入念な準備と的確な進行が不可欠です。
本記事では、座談会の準備から進行までのポイントを解説します。
座談会とは
座談会とは、複数の参加者が特定のテーマについて自由に意見を交わす会合のことを指します。
社史における座談会では、たとえば、創業時のエピソードや事業の転換期、社風の変遷などを、当時を知る関係者が語り合うことで、貴重な記録を残すことができます。
座談会の準備
目的の明確化
座談会を開催する前に、何を目的としているのかを明確にしておくことが重要です。目的が曖昧なまま進めると、話の方向性がぶれてしまい、伝えたいメッセージが散漫になってしまいます。
たとえば以下のイメージです。
社長を若手社員が囲み、10年後の会社の未来の姿を語る
過去を振り返る座談会
会社の成長を支えたOBやOGを招き、歴史を語る
参加者の選定
目的に応じた適切な参加者を選ぶことが、座談会の質を左右します。単なる役職や年齢のバランスではなく、多様な視点を持つメンバーを選定することで、より深みのある座談会になります。
たとえば、「未来を語る座談会」では、将来会社を担うであろう有力な社員を選ぶことなどもあります。また、「過去を振り返る座談会」では歴代社長をお招きし、現社長と語っていただくなんて企画もあります。
質問の準備
座談会のテーマが決まったら、事前に質問リストを作成し、参加者に配布しておきます。紙面の都合上、質問の数を絞る必要があるため、最終的にどのような内容を掲載するのかを意識しながら設計すると、スムーズに進行できます。
会場の検討
座談会風景の写真を社史に掲載することで、臨場感を高めることができます。そのため、写真映えする会場を選ぶことも重要です。明るく開放的な会議室や、創業の地、社内のシンボルスペースなど、社史の内容と関連のある場所を選ぶとよいでしょう。なお、服装を指定することはありますが、メイクスタッフを呼ぶことは少ない印象です。
一方で、社史に写真を掲載しない場合は、オンラインミーティング形式で実施することもあります。
ファシリテーターの手配
座談会は自由に会話を進める形式ではありますが、方向性がぶれないよう適切に進行をコントロールする必要があります。そのため、タイムマネジメントを行い、話が脱線しそうになった際に軌道修正を図れるファシリテーターを手配することが重要です。また、発言を促し、深掘りが必要なポイントを見極める役割も担います。
カメラマンの手配
座談会の記録として、プロのカメラマンを手配することも検討しましょう。自然な会話の様子を撮影し、集合写真や対話の瞬間を記録することで、社史にリアリティを加えるだけでなく、関係者の記憶にも残る大切な資料となります。
座談会の進行
ファシリテーターが進行する
座談会がスムーズに進むよう、ファシリテーターが適切にコントロールします。時間管理を行い、話が脱線しすぎないよう調整し、参加者全員が発言しやすい雰囲気を作ることが求められます。
ファシリテーターを置かない場合は、タイムマネジメントを行う担当者を決めておきましょう。
面白い回答は深掘りする
すべての回答を社史の紙面に反映することは難しいため、印象的なエピソードやユニークな発言を深掘りすることが重要です。
「あの時の決断が今の会社をつくった」といった話が出た場合、その背景や当時の葛藤について詳しく聞くことで、より読者に伝わりやすい内容になります。
頭の中で紙面を編集しながら進める
進行中も、最終的な紙面のイメージを意識しながら進めることで、不要な部分を削ぎ落とし、より洗練された内容にまとめることができます。