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社史制作の第一歩。基礎年表(時系列表)をつくってみよう!

2025.02.19

社史/年史/記念誌

社史を作るとなったとき、「何から手をつければいいのか?」と悩む方は多いと思います。しかし、社史制作には必ず通るべき第一歩があります。それが「基礎年表(時系列表)」の作成です。

基礎年表を作ることで、会社の歴史を客観的に俯瞰でき、重要な出来事や節目が整理されます。さらに、その年表が社史の骨組みとなり、執筆の指針として機能します。

今回は、社史制作の第一歩として、簡単な基礎年表の作り方をご紹介します。

 

基礎年表(時系列表)とは?

基礎年表(時系列表)とは、会社の歴史を年代順に整理した一覧表のことです。企業の創業から現在に至るまでの主要な出来事をまとめることで、企業の成長の流れや節目が視覚的に分かりやすくなります。

基礎年表の作成は、単なる事実の羅列ではなく、「なぜこの出来事が会社にとって重要なのか」を考えながら整理することが大切です。特に、以下のような項目を盛り込むと、社史全体の構成を考える際にも役立ちます。

【基礎年表の代表的な項目】
・創業や設立(例:○○年○月○日に○○株式会社設立)
・事業の変遷(例:新規事業の開始、主力商品の発売、事業転換など)
・組織の変化(例:社名変更、合併、経営体制の変更)
・業績の転換点(例:売上高○○円を突破、株式上場、経営危機の乗り越え)
・設備投資や拠点展開(例:新オフィス開設、新工場の建設、海外進出)
・社会や業界の動き(例:バブル崩壊、リーマン・ショック、業界法改正)

これらの項目を整理することで、会社の成長の背景や外部環境との関係性が見えてきます。

特に、社会の動きと連動して企業がどのような戦略を取ってきたかを振り返ることは、社史制作のうえで大きな意味を持ちます。

 

基礎年表作成の手順

①情報を収集する

基礎年表を作るためには、まず会社の歴史に関する情報を徹底的に集めることが重要です。過去の出来事を正確に記録するために、以下のような資料を活用するとよいでしょう。

【参考資料の例】
・社内資料(過去の社内報、決算書、事業計画書、会議資料、社内報告書)
・公的資料(登記簿、官報、新聞記事、業界誌、会社四季報)
・インタビュー(創業者、経営陣、ベテラン社員、OB・OG)

特に、創業時や転換期の情報は文書として残っていないことも多いため、当時を知る人に直接話を聞くことが重要です。過去の新聞記事や業界誌をチェックするのも有効な手段です。

 

②情報を時系列に並べる

集めた情報を整理し、時系列順に並べていきます。この作業では、エクセルやGoogleスプレッドシートを活用すると便利です。

なお、この作業を行うとき、「どの情報を生かして、どの情報を生かさないか」と悩むことになると思います。そこで、まずこの段階では、思うがままに情報を入れるという視点で作業を行います。

例えば、以下のような形式にすると見やすくなります。

出来事 社会や業界の動き
1970年 〇〇商店として創業
1985年 株式会社〇〇設立
1995年 〇〇製品を開発・販売 マイクロソフト「Windows95(日本語版)」発売
2005年 海外展開開始(台湾に進出) 中部国際空港が開港
2020年 創業50周年を迎える 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行

 

③情報の精査・整理

年表を作成したら、次に「本当に重要な出来事か?」を見直します。具体的には、各情報をA~Cランクなどにランク付けし、Aランクだけ残すといったイメージです。

この作業段階になったら、社史制作のプロジェクトメンバーや経営者などに精査・整理の方針を確認してから作業を行いましょう。個人の主観で行ってしまうと、後で修正が大変なので注意です!

 

基礎年表作成時の注意点

事実確認を徹底する

情報の正確性を確保するために、複数の資料を突き合わせることが大切です。

社内資料だけでなく、外部の記録や関係者の証言も参考にしながら、誤情報が含まれていないか慎重にチェックしましょう。

 

あいまいな表現を避ける

「この頃」「だいたい○○年ごろ」といった表現はできるだけ避け、正確な日付を記載するようにしましょう。

もし詳細な日付が不明な場合は、「○○年頃」と記載し、補足説明を加えておきます。

 

会社の変化だけでなく、社会の動きも入れる

企業の発展は、時代背景と密接に関係しています。

例えば、「1991年:バブル崩壊」や「2008年:リーマン・ショック」といった社会的な出来事を年表に含めることで、より広い視点で会社の歴史を捉えることができます。