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役員になったら社史を読もう! 経営の本質が見える「教科書」としての社史

2025.05.26

社史/年史/記念誌

役員に昇格した瞬間から、会社を見る視座と求められる責任は一段と大きくなります。目先の業務にとどまらず、中長期的な視点で組織の未来を考え、意思決定を行う立場へと変わるためです。

そんな役員にとって欠かせないのが「過去を知る」という姿勢です。組織がどう歩んできたか、何を選び、どんな価値観を育んできたかを知ることは、的確な経営判断の前提となります。

「社史」は、単なる社内向けの記録物ではありません。むしろ、役員こそが手に取るべき“会社を深く知るための教科書”です。

本記事では、なぜ社史が役員にとって重要なのかを解説します。

 

なぜ社史が教科書になるのか?

社史とは、企業の設立から現在に至るまでの歩みを記録したものです。ただ年表を並べた資料ではなく、「誰が」「なぜ」「どんな判断をしたのか」が、実例とともに描かれています。

役員の最大の役割は意思決定です。判断の背景には、その企業がどういう価値観や文化を持ってきたかという“蓄積”があります。社史はその背景をひもとく一次資料であり、未来を考える上での「地図」ともいえるでしょう。

また、会社が直面した過去の危機や転換点には、現在の組織風土や意思決定スタイルのルーツが隠れています。それを知ることは、現在の課題にどう向き合うべきかを考えるヒントになります。

 

社史を読むことで得られる“経営のヒント”

①意思決定の根拠となる

社史を読むことで、「過去にどのような選択がなされ、それがどのような結果を生んだのか」が見えてきます。成功の再現性だけでなく、失敗の背景や学びにも目を向けることで、意思決定の精度が上がります。

また、業界の構造変化や市場ニーズの移り変わりに対して、自社がどう対応してきたかも確認できます。それは今後の方針を考える上で、過去の“戦略的反応パターン”を読み解く材料になります。

単に情報を得るというより、そこから「経営とは何か」を自分の中に育てる作業とも言えるでしょう。

 

②信頼構築の道具になる

新しく役員に就任した際には、組織の中での信頼構築が重要な課題となります。社史を読むことで、社内で語り継がれてきた人物や出来事に対する理解が深まり、過去へのリスペクトを持つことができます。

そうした姿勢は、発言や判断に“社内文脈”が自然とにじみ出るかたちで表れ、周囲の信頼感を高めます。単なる理論や指示ではなく、「組織の文脈を踏まえた判断」として受け取られるのです。

 

③未来に対する責任になる

社史を読みながら「次の1ページを自分たちで書いていく」という意識が生まれることで、経営に対する主体性が一段と高まります。これは、単に過去をなぞるだけではない、社史の真の価値です。

役員という立場は、企業の未来をつくる責任を担う存在です。社史はその責任に対して、確かな土台と方向性を与えてくれるツールと言えるでしょう。

 

まとめ

社史は、役員として経営判断を担ううえでの「教科書」とも呼べる存在です。そこには、会社の過去の選択と、その背景にある考え方が詰まっており、未来への視点を養うヒントが凝縮されています。

社史を手に取り、「この会社のこれまで」と「これから」に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。